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【はじめに】
自分は2024年9月から2025年8月までの約11ヶ月間、ドイツのレーゲンスブルク大学に留学していました。
【動機と事前準備】
自分がレーゲンスブルク大学に留学しようと思ったきっかけとしては、大学入学当初からドイツの文化・歴史に関心があったこと、そして金沢大学とレーゲンスブルク大学間で毎年夏に行われているサマーコースに参加したことが挙げられます。事前準備で手こずったのは閉鎖口座の開設でした。これはビザ申請のために必須で、留学生活を送るために必要な資金を持っていることの証明になるものです。自分はこれに手間取り出国前にビザの取得ができなかったので、早いうちから情報収集をし、余裕をもって行動することをお勧めします。ビザは現地で取得することもできますが、自分は申請してから取得までほぼ3ヶ月とかなり時間がかかりました。渡航後は大学や保険に関する手続きなどで忙しく、尚且つビザ取得は一度アポイントを逃すと次の予約を取るのにかなり時間がかかるため、こちらもできれば出国前に済ませておくことをお勧めします。現地でビザを取得する際には留学先大学の国際オフィスからサポートを受けることができますが、これはある日突然「アポイントが取れたので今日の〇〇時に外国人局に来てください」といった旨のメールが届くため、渡航後は大学からのメールをこまめにチェックし、すぐに対応できるようビザが取得できるまで遠出するのは控えましょう。
【授業について】
留学してから冬学期が始まるまでの約1ヶ月は集中言語コースに参加していました。ここではさまざまな国から来た学生たちとドイツ語を学ぶことができ、授業の中では自分の出身国についてドイツ語で話し合ったり自分が好きな音楽を紹介したりと自分から周りに情報を発信することを求められる場面が多くありました。最初自分は気恥ずかしさから積極的になれずにいたのですが、他の留学生と関わるうちに少しずつ自信を持って取り組めるようになりました。これは留学生活全体を通してみても精神面で成長するきっかけとなった良い経験だったと感じています。学期が始まってから履修できる授業には、一般的なドイツ語の授業だけでなくスピーキング特化のものやドイツの歴史を扱っているもの、英語で開講されているものなどがありました。
【授業外での活動】
レーゲンスブルクでは毎年5月と8月下旬~9月中旬に「Dult(ドゥルト)」と呼ばれるビール祭りが開催されており、1Lのジョッキでビールを飲んだり、観覧車やお化け屋敷などのアトラクションを楽しんだりすることができます。イメージとしては毎年ミュンヘンで開催されているオクトーバーフェストの縮小版ですが、オクトーバーフェストより混雑しておらずビールもDultの方が安く飲むことができるため、より手軽に楽しむことができます。また、レーゲンスブルクでは毎週木曜日の夕方にはシュタムティッシュというイベントがあり、レストランで食事をしながら日本語を学んでいるドイツ人と交流することができます。日本人もドイツ人も参加者のほとんどが大学生であるため気さくに話しかけることができ、自分はシュタムティッシュを通じて多くの友人を作ることができました。お互い言語を学習している途中であり気軽にミスを指摘しあえる環境だったため自分も間違いを恐れずに積極的にドイツ語を話すことができ、結果として留学中にシュタムティッシュに参加したことでより効果的にドイツ語力を向上させることができたと感じています。ただ、人との距離感や接し方といった点では日本とドイツの間で一部差がある(ドイツのほうが距離を縮めるのが早く、また距離が近くなりやすい)と感じた経験もあったため、自分が嫌だと思ったり危ないと感じたりした時にはきっぱりNoと伝えるか、遠慮せず周りの学生や大人に相談することをお勧めします。
【最後に】
ここまで自分の経験を振り返ってみて、もし現在留学するか悩んでいる人がいるのであればぜひ挑戦してみるべきだと声を大にして言いたいです。自分自身、留学中にトラブルや悲しい思いをした経験が全くなかった訳ではありません。しかし、海外でしか得ることができなかった経験や留学中の様々な人たちとの出会い、そして何より彼らと共有した思い出が留学に挑戦して良かったと思わせてくれています。また、日本で暮らす中で培われていた自分にとっての「当たり前」が海外では全く通用しなかった経験は自分の視野を広げてくれ、家族や友人から遠く離れた地での生活は自分が彼らから普段受けていた思いやりとそれに感謝しなければならないという気持ちを再認識させてくれました。そして留学で得たこれらの学びや価値観は帰国後の生活においても役立つ、留学だけでは完結しないかけがえのない経験になったと感じています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。この文章がこれから留学する、あるいは留学を検討している方にとって参考になれば幸いです。