フランス トゥールーズ大学ジャン・ジョレス校

2024年度 / ヨーロッパ <フランス>

掲載日:2025年9月3日

NEW トゥールーズ大学ジャン・ジョレス校

S.K.

(人間社会学域 国際学類 3年)

体験報告

  • 1. 留学先、留学時期について
    私は小さい頃から海外に強い憧れを持っており、海外の大学と積極的に交流の機会を持てる金沢大学に入学しました。今回の留学先であるフランスにはもともと興味があったため初習言語としてフランス語を選び、一年生以降も勉強を続けることにしました。国際学類の授業を受ける中でフランスの文化についても触れた際に読んだ本において、私の興味のある研究が行われた大学がたまたま金大の提携校であることが分かったため、その大学に行くことを決めました。私は一次募集で応募し、選考の際に面接はありませんでした。しかし、二次募集では人気があったため面接がありました。「一年間留学したい」と明確な考えがある場合は、一次募集の時に応募することをお勧めします。

    2. 留学前の準備として、何をすべきか
    やはり、必要最低限のフランス語は勉強していくことが大切です。DELFやDALF、TCFなどの国際的なフランス語資格を取得することを強くお勧めします。私はフランス語検定3級を取得してフランスに行ったのですが、正直に言ってフランスでは何の役にも立ちませんでした。低いレベルでもいいので、自分の「現段階でのフランス語力」を証明してくれるものがあれば、フランス語の授業のレベル分けや学部の授業の履修の際に役に立つはずです。私が行った大学では学部に所属するためにはB1が必要でしたが、証明書類がなかったため、フランス語学科に所属することになりました。しかし学部の授業を履修することが諦められず留学生向けデスクで相談したところ、週に一コマだけ現地の学生と一緒に授業を受けることが出来ました。

    3. 留学先について知っておくとよい情報
    国民性や文化についてはあらかじめ知っていた方が日本人として恥のない振る舞いが出来ると思います。例えば、フランス人は相手ファーストです。扉を開ける際相手を先に通す場面に老若男女問わず遭遇すると思います。自分も相手を先に通したり、誰かに通してもらったり。日常のほんのちょっとしたコミュニケーションですが、素敵な文化だと思います。

    4. 留学中に取り組んでよかったこと、その理由
    興味があることには、出来る限り全て参加してみることが後悔のない留学生活を送るカギだと考えます。私は大きく分けて3つのことに挑戦しました。まず、乗馬です。大学で開講されるオプションのスポーツの授業も履修し、私は乗馬を選びました。日本では乗馬経験がありましたが、先生のフランス語での指示が理解できず、周りの生徒の真似をすることしかできませんでした。しかし、自分で乗馬の分野の単語を学習するにつれ先生の指示が分かるようになり、先頭でお手本をさせてもらえるようになりました。自分の成長が感じられた出来事でした。次に料理教室です。学内の張り紙を見ていたらたまたま見つけました。あえて日本人の友人とは行かず一人で参加してみたのですが、新たな人にも出会え、美味しい料理が学べ、フランス語の練習にもなり、一石二鳥以上の経験ができました。そして三つめはボランティアです。日本語補習校のサポートスタッフのボランティアでした。私とは反対の状況にある「フランスで日本語を学ぶ」小学生と触れ合い、生徒の苦労を理解して日本語を学べるようにサポートするのは、やりがいが大きくてとても楽しかったです。

    5. 留学中の苦労、それをどのように乗り越えたか
    留学中は全てのことが新しく、毎日が新鮮で興味深かったです。しかし、それに伴って数えきれない苦労も経験することになります。フランスにはたくさんの中国人が住んでいます。そして、中国人に対してあまりよくない感情を抱くフランス人が存在するのもまた事実で、よく間違えられます。私たちそれぞれが独自の文化やアイデンティティを持っているにも関わらずすべて「アジア」「中国」とひとくくりにされるのは心が痛いです。バスで席を譲った際、おじいさんに「謝謝」と言われ、傷ついた経験があります。相手に悪意があるわけではないのでやり場のない感情を抱えたことを覚えています。しかし、もうその人に会う機会はないと思います。気にしないこと、それを大切にするようにしていました。また、自分を受け入れてくれる人が身近に一人でもいれば、生活していくうえで全く問題ありませんでした!

    6. 留学経験をこれからどのように生かしていこうと考えているか
    私は帰国後からは先魁に住んでおり、留学生と触れ合う機会が多くあります。自分が留学中に苦労した分、今度は留学生と同じ目線から、彼らが困っていることのサポートがしたいと思っています。

    7. 卒業後の進路について
    卒業後の進路は未定です。将来的にはフランスと日本をつなぐ仕事が出来ればいいなと考えています。留学によって自分の興味を深堀することが出来ましたが、やってみたいことがさらに増えてしまい、その取捨選択が難しいです。

    8. 留学してよかったこと
    留学して良かったと思うことはたくさんありますが、その中で私に最も大きなことは自己肯定感が高まったことです。フランスは多民族国家で、たくさんの国から人が集まってきます。そんな多様な社会の中で「私っていてもいいんだ。」と思うことが出来ました。周りには自分のコンプレックスを認めて「いいね!」と言ってくれる友達や、自分の好きな服を着て、好きなメイクをしている人であふれかえっています。そんな人たちを見ていると、これまで他人と比べたり人に合わせようとしたりしていた自分が小さなものに思えてきます。日本では「細い体で、髪の毛がサラサラで、目がぱっちり大きな二重で、きれいにメイクをしていて…」というようなビューティースタンダードが確立しており、それに自分を合わせようとしがちです。しかし、世界に目を向けてみると「美しい」という感性は様々で、いろんな美の基準があります。留学したことによって、人と比べるのではなくて自分の好きなものを貫き、自分を大事にすることの大切さに気付かされました。

    9.派遣留学を考えている方へ
    自分の知らない世界に飛び出してみると、たくさんの新しい知識や経験を得ることが出来ます。留学で得た経験は、うまくいったことも、失敗したこともすべて、私のこれからの人生の中で大きな支えとなると思います。私は留学中に家族や友人の存在の大きさにも気づくことが出来ました。そんな周りの大事な人たちえの感謝の気持ちも忘れず、ぜひ自分の目で、いろんな世界を見てきてください。大学生の今しかできない経験が、きっとあなたを待っています:)